一緒に考えよう、ニューノーマル
陶器磁器かかわらず、焼き物の産地を多く抱える佐賀。中でも古い歴史を持つ唐津焼ですが、伊万里・有田焼などと比べ、土づくりから窯焚きまでひとりで行っている窯元が多いため作家性が強く、ちょっと敷居の高い印象があります。陶石からつくられる白い磁器とは違い、陶土由来の渋い色味や重厚感があることや、伝統的に茶道具や酒器が多くつくられてきたことも、そう感じさせる一因かもしれません。
でもそんなイメージは単なる思い込みでは? なんとなく「合わない」と思っていたパスタやカレーといった洋食でも、ひとたび盛ってみたら不思議と調和。できあいのお惣菜やインスタント食品であっても、よそうだけで一気に食卓の印象が変わります。そんな知られざる力を持つ唐津焼を使うことの意味と可能性について、今一度考え直してみました。
高級料亭イメージは思い込み? 唐津焼を日々の暮らしに取り入れよう。
よそうだけで料理に彩りを与えてくれる唐津焼はまさに「魔法の器」。でもどうしてそんな力を秘めているのでしょう? それは唐津焼が土からつくられた器であることと無関係ではないかもしれません。野菜はもちろん、穀物にせよ肉にせよ、たいていの食材は土の上で培われ、育まれたもの。そんな「土壌から生まれた」という両者の境遇が、お互いの相性を抜群かつ強固なものにしているのではないでしょうか。土から生まれた器で、土から生まれた食材を食べる。シンプルだけどすぐにでも実践できる「土地の力」の取り入れ方です。
もともとは食器や甕といった日用雑器を産していたにもかかわらず、茶の湯が浸透するに従いその素朴さが受け、茶道具として広まった唐津焼。李氏朝鮮から伝わったとされるさまざまな技法を現代に受け継いでいます。
中でも代表的なのが、花鳥草花が描かれ透明釉をかけた「絵唐津」、黒と白の2色の釉薬をかけ分けてつくる「朝鮮唐津」、白濁した藁灰釉をかける「斑唐津」など。有田や伊万里といった分業制の焼き物産地と異なり、今も昔ながらの薪で焚く登り窯を使っている窯元が多く、そこから生まれる個性豊かな風合いが特徴です。
器に盛るだけで料理の雰囲気を変えてしまう唐津焼。まずは盛ってみることでその変化を楽しみましょう。
次に考えたいのが取り合わせ。どの料理とどの器を取り合わせるか、イメージを膨らませましょう。
“割れてしまう”陶器を扱うようになって変わるのが日常の所作。暮らしへの向き合い方にもきっと変化が。
作り手八分、使い手二分と言われる唐津焼。使い続けることで色や貫入(釉薬のヒビ)が経年変化する器で愛着が増します。
佐賀県唐津市紺屋町1689
TEL 0955-73-5368
OPEN 9:00-20:00 無休
佐賀県唐津市中町1868
TEL 0955-74-2454
昼11:30-14:00
夜18:00-23:00 不定休