一緒に考えよう、ニューノーマル
土を耕し作物を育て、収穫して調理する。人間が自然から生きる糧を得て、暮らしを営んでいく上で続いてきた、「はたらく」の原点です。現代では、仕事と暮らしが切り離されて語られることも多いですが、もともとは「働くこと」と「暮らすこと」は同じことだったのかもしれません。
誰かが代わりに育ててくれた農作物がスーパーで気軽に手に入るようになった今だからこそ、改めて暮らしにちょこっとだけ「農」を取り入れてみませんか？ ベランダで気軽にはじめられるプランター菜園から半農生活まで、佐賀には幅広い選択肢があります。そんな農ある暮らしをはじめるあなたのために、この土地でつくられる最適な農具や包丁の選び方や使い方を提案します。畑から台所までのつながりが、生活の中に生まれることで、佐賀で暮らし生きていく楽しみがまたひとつ増えるかもしれません。
農を取り入れ、畑から台所までつながる。そんな暮らしをはじめよう。
農具には大きく分けて、土起こし、畝立て、除草、収穫の４つの用途があります。最初のステップが土起こし。硬い土に刃をいれて掘り砕いていきながら、土をやわらかく耕していきます。規模の小さな家庭菜園なら、土質と体格にあった「鍬（くわ）」を選んでみましょう。次に耕された土をさらにならし、農作物のベッドになる畝（うね）を作る畝立てをしたり、溝を作ったり、土寄せをします。この時に必要なのは、軽量ながらも小回りのきく、レーキやホーなどの農具です。そして一年を通して必要なのが除草用の道具。窓ホーなど土寄せと草削りも兼ねる道具もありますし、するどい刃でさくさく草が取れる鎌もあります。そして鎌はもちろん、農ライフ一番のお楽しみである収穫の際にも大活躍します。
土質や用途によって仕様が細かく分かれ、地域ごとに独自発展してきた農具。寄せられる要望にコツコツと応えていたら、吉田刃物は2000種類も生産するようになってしまいました（笑）。本社併設の直売所に来ていただければ、あなたにぴったりの農具選びのお手伝いもできますよ。
初めての家庭菜園でも使いやすい柄の短い農具たち。硬い土であれば先の鋭い鍬や三叉に分かれた鍬がおすすめ。
除草用から太い葉物野菜を収穫できる鎌まで種類いろいろ。刃の厚みや片刃か両刃かなど、少しずつ異なります。
お肉も大きめの野菜も切れる万能包丁。先が鋭角に尖った形状は博多包丁の流れをくむ、九州独特の形なんだとか。
料理道具がたくさん持ち込めない船にも必須の一本とされた、魚も野菜も切れる和包丁の万能型。硬度のある鋼材で切れ味も抜群です。
刃の先が尖っておらず、刃も直線的で長いため、大根のかつら剥きやレタスやキャベツなどの葉物野菜を切るのには最適です。
野菜や果物の皮むきなど、小回りが利く小型包丁。鋼で少し重いですが、切れ味もよく、お手入れのコツをつかめば長切れします。
今回使ってみた吉田刃物の包丁は４本。最高級鋼材であるZDP-189を使った菜切り包丁と文化包丁。そして鋼の一種（青紙）を使った舟行包丁とペティナイフです。
ZDP-189シリーズの包丁は、切れ味、長切れ、デザイン、刃の厚み、メンテナンス性などのバランスがよく、さまざまな食材を切るのにとても重宝しています。特に切れ味が素晴らしく、鋼とステンレスの良さが共存した素晴らしい使い心地です。
吉田刃物の鋼の舟行包丁、ペティナイフの切れ味も抜群。とても使いやすいです。特にペティナイフは、家庭に一本あるといいナイフのひとつですね。小回りが効くサイズのナイフは非常に手軽で使用頻度も高いです。
和包丁でもよく見られる鋼の包丁は、切れ味がよく長切れ（刃物の切れ味が長期間つづくこと）するためプロは重宝しますが、水につけたままにするとサビてしまうため、使用に抵抗感がある人も多いようです。周囲にヒアリングをしても、鋼でよく切れる包丁を持ちながらもステンレスの切れない包丁で料理しているというケースをよく聞きます。でも、洗った後にすぐ包丁立てに立てておく、定期的に研ぎに出すなどの習慣さえ身につけてしまえば、こうした問題は解決します。今後はそういったメンテナンスの仕組みも含めた包丁との暮らし方を提案をしていきたいですね。
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